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お知らせ

新視点に対する「腹落ち」

社会的価値VS財務的価値

私は、「腹落ち」していただくことを重視します。理由は、簡単です。「腹落ち」しないとなかなか人は行動に移そうとしないからです。「腹落ち」とは、「よしわかった」と、それこそ腹の底から納得・共感できた状態です。頭で理解しただけではなく、心から納得・共感できたとき人の動きはガラッと変わります。活性化します。もちろん、強制力(権力)で人は動くかもしれませんが、強制力(権力)を持つ上が変われば動きは止まります。まして、個人の価値観が変化した今、通用する方法とも思えません。新視点についても同じです。折角、提案をしても、その視点で考えてみよう、話し合ってみようと、行動につないでもらうためには、新視点を「腹落ち」してもらうことが必要になります。

そこで、もう一度、3つの視点を整理します。
・社会的価値の視点
・デジタル化の時代における人の仕事のあり方
・経営者の管理力・経営力に頼った経営体制からの脱却(経営情報の公開と共有)

上記の3視点から、コロナ禍による経営危機を乗り越える方向や課題、取組みを考えてみましょう、という提案でした。その中で、最も「腹落ち」しにくい視点が、社会的価値の視点ではないかと推察します。理由は、中小企業に限らず多くの経営者が、売上や利益を重視した経営を行い、民間企業は利益の確保、公的機関は社会課題の解決という考えに立っているからです。

代表的な考え方はこうではないでしょうか。

「経営者として一番大切なことは、毎年しっかり利益を出して、税金を納め、会社を存続させることだ。利益が出なければ給料が出ない。給料が出なければメシが食えない。そしたら、そこで働く理由などなくなる。雇用を守るためにも利益を出すことが重要だ」

「企業も社会的な存在だからコンプライアンスなど社会規範は遵守しなくてはならない。それは中小企業も例外ではない。しかし、人も時間も金もない中小企業に、さらに社会貢献も考えてやるべきだというのは酷だし、できもしない。そうした活動は、官公庁や大企業、NPOに任せておけばいいのではないか」

そこで、今回は、社会的価値という視点を「腹落ち」してもらうため、社会的価値と企業活動について考えたいと思います。

「三方よし」の実際

欧米の企業は、株主利益を重視した短期的な利益志向で経営を行ってきました。それに対して、日本の企業は社会に役に立つ、お客様に喜んでいただく、という気持ち、価値観を大切に経営をしてきました。その代表が「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」の精神で、この言葉を大切に経営をしている経営者も多くいます。
では、実際の事業内容や活動はどうでしょうか。いくら社会に役立つ商品、サービスであっても利益が期待できない商品、サービスは取り上げられることはないでしょう。一定の売上、利益が期待でき、顧客満足が高まる商品、サービスを、社会規範を守って生産・販売する、これが三方よしの実際で、優先順位は、売り手よし、買い手よし、世間よしの順序ではないでしょうか。

ところで、売上、利益が期待できる商品、サービスは、どうやって企画・開発しているでしょうか。多くは、既存の強み、技術を活かし、その中で投資に見合う売上、利益が見込める商品、サービスを企画・開発しているのではないでしょうか。これを長年続けていると、既存の商品、既存のサービスを超える新商品、新サービスが創造されにくくなり、やがて挑戦や失敗を怖がる組織になってしまいます。皆さまの会社は大丈夫でしょうか。

世間よし、買い手よし、売り手よし

コロナ禍による経営危機を乗り越えるために、既存の商品、既存のサービスを超える新商品や新サービスの企画、開発が必要だ、ということに異論は少ないでしょう。重要なことは、そのためにどういった手順・ステップで企画、開発を進めるかです。

これまでと同じように企画・開発の最初の段階で、一定の売上、利益が期待できるかどうか財務的価値でふるいにかけては行き詰ると思います。今のコロナ禍の情勢で精度の高い売上、利益の見通しを立案することは困難を伴います。それをあえて求めれば、皆さまが期待するだろう売上、利益を忖度してストーリーをでっち上げるしかなくなるでしょう。それが、どれほど会社を危険にさらすかは言うまでもないことです。そんな危険を冒すくらいなら、思い切って、財務的価値の判断、つまり売り手よしは最後に回して、世間よしを最優先に新商品、新サービスの企画を考えてみてはどうでしょうか。世間よしを最優先にすることで、既存の顧客に限定することなく広く社会に役立つ新商品、新サービスが企画できる確率が高くなるのではないでしょうか。世間よしを最優先に考えて新商品、新サービスを企画し、その中から、皆さまの信念、ビジョンに合致した新商品、新サービスを選び、最後に、買い手よし、売り手よしを考えて、一定の売上、利益をあげるためのビジネスモデルを考える、といった手順・ステップを踏むのです。
その結果、財務的価値判断が最後になり、最終段階でこれならいけるというビジネスモデルが見いだせない場合もあるでしょう。その時、どう決断するかは、会社の存在、会社の役割をどう考えるか、皆さまの信念、志にかかってきます。
ですので、こうした手順・ステップを踏むには、事前に、皆さまの信念、志、ビジョンを明確に従業員に示しておく必要があります。そうすれば、最終的に市場に投入できないリスクが減り、時間と費用を無駄にしなくて済むからです。

社会的価値の視点とは、既存の商品、既存のサービスを超える新商品、新サービスを企画、開発するため、三方よしの精神でいえば、優先順位を、世間よし、買い手よし、売り手よしの順序で企画、開発すること、と考えればどうでしょうか。

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誠光パートナーズ